祝儀袋の右上には、紅白の折形がついたものがあります。これが「のし」で、「のしあわび」の略です。日本の贈り物の由来は、神へのささげ物として、新鮮な肴(魚介類など)を供えるというところにあります。特にあわびは貴重品として扱われていました。しかし、本物のあわびを常に添えるというわけにもいかず、本物のあわびの肉を薄くそぎ、火のしを使って平らに伸ばしたものを代わりに使い、「肴も添えてお贈りいたします」という意味を表していました。のしの意味とは、「伸ばす」という意味も含まれており、慶事や縁談に関する祝い事には「縁を伸ばす」といういい意味で使われています。しかし、弔事やお見舞いでは、「引き延ばす」という意味を嫌うので、のしは使いません。また、贈り物が生ぐさものであるときは、中身と表につけた「のしあわび」の意味が重なってしまうので、のしはつけないとされています。
和服を着て階段を昇り降りするときは、挟に注意してください。とくに振り袖は、そのまま歩いていると、引きずりますから、振り袖は体の前で重ね、片手で少し持ち上げるようにしながら歩いてください。くれぐれも、せっかくの着物で階段の掃除をしているなんていうことにならないように。裾を汚さないためには、階段に向かって体を少し斜めにするとよいでしょう。そして両膝を離さないように意識しながら、内股で昇り降りすると、きれいです。昇るときは後ろの足のふくらはぎが見えないように注意したほうが上品。前足の爪先を浅くステップにかけたら、後ろの足を素早く上げるようにしてみましょう。一段昇り両足をそろえ、また一段昇るよう心がけてください。車の乗り降りは、「お尻から入って足から出る」と覚えておくと、優雅に見えます。これは洋服でも、和服でも同じです。まず乗るときは、お尻から入ってシートに浅めに腰かけます。そして頭を低くして体を車内に入れたら、体を回して正面を向きましょう。和服のときは、体を少し窓のほうに向けて座ると、帯が背もたれに当たりません。こうすると、自分がラクなだけでなく、帯がくずれる心配もありません。降りるときは、乗るときと逆の要領で、体を回して足の爪先を車の外に出し、それから頭を低くして、くぐるような姿勢で外に出ます。
昔は、訪問、手紙、電話の順にていねいだと思われていましたが、いまは場合によってはむしろ逆のこともあります。スピーディで多忙な現代では、ほとんどの用件は電話やファクシミリ、または電子メールでこと足ります。私などのように忙しいものには、突然人から訪問を受け、予定がくるって困る場合があります。電話ですむことは電話ですませるのが現代の礼儀といえるでしょう。そして、電話でも、本人に直接言わなくてもすむ用件があります。会合の出欠の返事、お礼、季節の挨拶などのように、一方的に自分の意志だけを伝え、相手の返事を必要としない場合です。そんなときは、多忙な相手を呼び出さずに、電話口に出た人に伝言を頼むことがマナーです。